2023年震災伝承調査報告書冊子を公開
公益社団法人3.11メモリアルネットワークでは、東北の伝承活動の現状と課題の共有、防災・減災活動の活性化を目的に、2017年より「東日本大震災伝承活動調査」を行い、報告書を発行しています。
※2020版 ブログ:2020年東日本大震災伝承活動調査報告書(旧3.11みらいサポートWEBサイト)
※2021版ブログ:2021年東日本大震災伝承活動調査報告書
※2022版ブログ:2022年東日本大震災伝承活動調査報告書
この度、2023年12月までの岩手・宮城・福島での震災伝承活動の現状調査報告書を公開しました。本報告書は、以下の速報・詳報を元に若干数の追加回答のグラフへの反映した他、東日本大震災の伝承に関わる基本方針の確認や持続可能な震災伝承についての現状を追記して発行させていただくものです。
2023年震災伝承調査速報(来訪者受入推移)
2023年東日本大震災伝承調査第2弾詳報
ご協力をいただきました震災学習プログラム実施29団体、伝承37施設の皆さまに、改めて感謝申し上げます。
本報告書を通じて、東日本大震災被災地における13年間の伝承活動の現状や、課題等が多くの関係者に共有され、災害が多発する日本において、災害発生時・復旧・復興期・平常時のそれぞれにおける伝承のあり方を検討する上で少しでも参考になることを願っています。
概要
【名称】 2023年東日本大震災伝承調査報告書
【発行者】 公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【協力】 東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
※以下のボタンを押すとPDF(約4.0MB)が表示されます。
目次
はじめに
1.2023年東日本大震災震災伝承活動調査報告書の概要
2.東日本大震災の伝承に関わる方針と現状
3.震災学習プログラム
4.震災伝承施設
5.震災伝承活動の現状・課題
6.持続可能な震災伝承活動に向けて
7.おわりに
掲載情報例
・震災学習プログラム、震災伝承施設の受け入れ人数年別推移比較
震災学習プログラムは、2013年をピークに減少に転じた。2020年はコロナの影響で一気に77,238人まで激減し、2023年には183,419人(ピーク時の71%程度)まで回復したものの、伸び悩みが見られる。
震災伝承施設の年間来館者数は増加を続け、コロナの影響で一時的に減少はしたものの、2022年には100万人を超え、2023年には1,562,752人となっている。
・伝承活動を継続するうえでの不安感、資金の不足
震災伝承団体の93%が「大いに不安がある」「どちらかというと不安がある」状態で、継続に関する公的な資金支援は64%が「不十分である」「どちらかというと不十分である」と回答
・震災伝承の継続に重要な人材は「語り部」
後世への伝承活動継続のために特に重要な人材は、伝承団体、施設ともに、「語り部」への回答が最多
・人材育成のための必要なものは「専任職業としての安定化」
伝承人材育成に必要なものとして、人材制度や専任組織より「専任職業としての安定化」が最多の回答
・震災伝承の活動資金
発災15年後の「復興事業の完了」を機に、“震災伝承の崖”ともいうべき資金不足が控えているが、東北3県全体においても、図5-10で示したように、ほんの3年後(”崖“の後)に活動資金について、見通しのある団体は32%にすぎず、非常に厳しい環境
・震災伝承活動の指標
伝承の指標設定の難しさも伺わされたが、リピート率、他施設や団体への紹介数、防災行動の変化などの具体的な自由記述回答も得られた。
・震災伝承継続のための新しい仕組み
「どのような“震災伝承継続のための新しい仕組み”が必要ですか?」との設問に対し、伝承団体、施設共に「被災県単位での震災伝承を支える制度の新設」が最多回答で、続いて「上記それぞれを連携させる存在」。被災地が広範にわたり、かつ、今後の日本全国の防災に資する活動として、県やそれを超える復興庁や内閣府での「新制度」への期待がある。
2023年震災伝承調査報告書本文をダウンロードの上、ご活用いただければ幸いです。
※次回2024年分の調査は2024年1月に実施し、2024年2~3月に速報公開予定です。
伝承活動の持続可能性を高めるため、伝承団体や研究者、メディアの方々からご希望の設問があれば調査への反映を検討しますのでお問い合わせください。