2023年東日本大震災伝承調査第2弾詳報

東北3県における東日本大震災の2023年伝承活動調査結果を追加報告させていただきます。

3.11メモリアルネットワークでは、東日本大震災の伝承活動の現状と課題の共有、防災・減災活動の活性化を目的に、毎年、調査を行っています。

「2023年東日本大震災伝承活動調査」第1弾として、2月に震災学習プログラム・震災伝承施設の受入人数推移の速報を公開しております。
詳しくはこちら >>> 「2023年震災伝承活動調査(速報)について」

第2弾詳報では、伝承活動の現状(Q1:基本情報、Q2:連携・相乗効果、Q3:学校における震災学習、Q4:企画や工夫、Q5:活動継続の見通し、Q6:今後に必要なこと・もの)についてお伺いするアンケートを実施し、3県26団体・25施設運営組織のご担当者様が協力してくださいました。

2023年東日本大震災伝承調査第2弾 継続性の不安 東日本大震災を伝承する団体の92%が継続性の不安を抱えており、また、伝承継続に関する公的な資金支援を「不十分」とする回答は61%を占めていました。復興庁では発災15年後の「総括」に向けた議論が行われているところですが、災害が多発する日本において、国民一人ひとりの防災意識の向上を担う震災伝承の取り組みに対して、東北の被災自治体だけの資金や人材の負担では難しい現状が明らかとなり、次世代への伝承を支える新しい仕組みへの期待が確認されました。

全国の防災力向上につながる取り組みとして、活動継続を支えていただくきっかけの一つになれば幸いです。

Q1:基本情報

震災学習プログラム実施団体(以下、伝承団体)および震災伝承施設運営組織(以下、伝承施設)の伝承活動現状を報告します。

地域外からの来訪者数

※市町区分での訪問者数回答が得られた12伝承団体、10伝承施設、
県区分での訪問者数回答が得られた11伝承団体、13伝承施設の集計

  • 来訪者の訪問元について、把握できる範囲で回答が得られた中では、市町村外からの訪問数が90%県外からの訪問数が62%
  • 受益者の多くが自治体外からの訪問者であり、自治体住民のための通常の施策の範囲を超えているものの、日本全体の防災力向上の資する重要な活動を東北3県の伝承団体・伝承施設が担っていることが示唆された。

Q2:連携・相乗効果

近隣の伝承施設/団体との連携・相乗効果

  • 伝承団体、伝承施設ともに、「伝承機会の紹介・提供」、「担い手の育成」が最多
  • 現在の連携・相乗効果と、今後見込める連携・相乗効果は大きな差異はなかった。
連携・相乗効果の事例(自由記述の一部)
  • 他施設とローテーションで行程を組むことができるため、クラスの多い学校でも複数のプログラムを同時進行できることから、待ち時間なく円滑に受け入れが出来ている
  • 会場を借り、他県の団体とフォーラムを開催
  • 伝承施設に、寄付の支援ボックスを置いてもらっている
  • 協議会を通して関連組織と全体計画を協議
  • 近隣伝承館での実施イベントについてSNS配信やチラシ等を配布し情報発信
連携の課題(自由記述の一部)
  • 施設と話し合う場、話し合うことがない為、この課題を解決してから
  • 各施設が人材不足のため連携が図りにくく様々な相乗効果が見込みにくい
  • 送客に関しても一方通行であり、あまり相乗効果という形には至っていないように感じる
  • ほかの語り部・伝承団体との繋がりがまだ必要であると考える
  • 施設の特長や学びの内容が他施設と異なるということが理解されない
  • 復興基本方針の「各地の伝承施設等の間で連携」、祈念公園基本方針の「多様な主体の連携」、自治体の「多様な主体のネットワーク」など、抽象的な目的としては掲げられているが、具体的に実践する主体(組織や人材)、財源がない
  • 交流を考えてはいるが、実動者が高齢で数名のため中々実現が難しい
  • 管轄の違い(市・県)
  • 情報共有と問題意識の統一、協働する姿勢

Q3:学校における震災学習

年間で関わる学校の数

  • 伝承団体は県内よりも県外の学校との関わりが多く伝承施設は県内・県外ともに年間50件以上の多くの学校との関わりが見られた
学校とのつながりの作り方

  • 学校とのつながりに関しては
    伝承団体、伝承施設ともに、「学校からの問い合わせ」、「旅行会社からの紹介」が上位であったが、県内は直接学校からが最多で、県外は旅行会社紹介が最多であった
  • 伝承団体は、伝承施設よりも多様なつながりが見られるが、「自組織での営業・広報」は伝承施設よりも少なかった
学校との連携の成功例(自由記述の一部)
  • 近隣小中学校の避難訓練や、防災学習のアドバイザーとして授業に参加
  • リピートで毎年来訪(修学旅行・防災教育等)
  • 他団体・施設と連携し、他県中学校の5年間継続訪問が実現
  • 防災マップ作りのサポートと、サポート校の入賞
  • 学校との連携により高校生が紙芝居をして語り継ぎ
  • 漫画冊子の学校への寄贈(企業や知人からの他自治体への寄贈)
  • 県内の教員(小・中・高・特別支援学校等)に震災・防災学習プログラムを紹介する現地研修会
  • 中高生語り部の育成育成、学校での防災講話、オンラインの事前学習の対応
  • 毎年当施設を訪れてくれる。毎年後日に生徒たちからのお礼の手紙が届くので、案内した職員も次につながり嬉しいこと
  • フィールドワークの講師を毎年務めている
学校で震災学習が広がるために必要なこと(自由記述の一部)
  • 児童や生徒が自分事として捉えられる学習機会、担当教師と学校自体の取り組む姿勢
  • 伝承活動団体の情報発信及び年間カリキュラムに震災学習(防災学習も含む)を組み込むことが必要
  • 特定の先生だけにご負担がかからないような学校での取り組み方が大事
  • 行政による予算化を継続して欲しい。震災学習は生徒さんたちにとっては格好の教材
  • 伝承施設スタッフの学校現場・指導要領・探究活動への理解、・防災活動・避難訓練と震災学習・災害伝承の相関性の学校現場での理解
  • 実際に被災地の現地を訪れて見て聞いて体感することが一番の震災学習になる。そのために、県全体で小中学校の年間カリキュラムの中に震災学習(防災学習含む)の時間を組み込む
  • 教育行政及び教育の震災学習への理解促進、教育旅行での震災学習の必須化、予算措置
  • 学校の先生方に当施設を定期的に利用してもらい、震災学習への理解を深めてほしい

Q4:企画や工夫

年間行事、来訪者行事のための企画

 

  • 年間行事、来訪者増加のための企画のいずれも、伝承団体よりも伝承施設の方が企画・開催していた
  • 「その他」として、ホームページでの告知や無料開館の回答があった。
企画・工夫を立案する担当者の関わり方
  • 伝承団体、伝承施設共に、「専任」は非常に少なかった。伝承団体のいくつかで、広報からプログラム実施、会計や組織運営までのすべての業務をごく少人数で担当されているケースを「専任」と表現されている回答があった
  • 「兼任(常勤)」の回答が伝承団体・伝承施設ともに最多であったが、いずれにも「兼任の担当者も不在」という回答が見られ、活発な伝承の取り組みの一方で、専任人材が少ない現状が確認された。
災害対応や避難指針

  • 伝承団体、伝承施設ともに「災害対応マニュアルがあり、メンバー全員が把握している」が最多であった。
  • メンバーの把握がされていない、明文化されていない回答も確認され、以下の自由記述からは、マニュアル有無だけでは捉えづらい状況も示唆された。
避難指針の回答理由や、来訪者の安全管理についての考え

伝承施設や震災遺構、案内場所の多くは被災地域にあり、来訪者の安全を確保が求められているなか、以下のような回答が得られた。
「必須」、「当然」との回答の一方で、現実的な難しさや人材の必要性への言及も確認された。

  • 被災地で研修するからこそ必須
  • 震災の経験や教訓を伝える施設として、災害対応マニュアルをスタッフが把握し行動することは当然
  • 大きな揺れを感じたら、てんでんこに避難する
  • (一部)来館者も参加した避難誘導訓練を実施し、安全管理の徹底を図っている
  • 市外からの来館が多いためスムーズに避難誘導するためにもマニュアルは必須
  • 毎年避難訓練を行っており,災害時の対応の確認及びマニュアルの改善を行っている
  • いろいろなパターンが想定されるので、詳細についてはまだまだ話し合いが必要
  • お客様の安全を完全に担保できているとは言い難い部分がある
  • 施設からの避難を想定した訓練と合わせて、商店街や近隣事業者と連携した避難訓練が必要と考えるが、実施に至っていない
  • 周囲の伝承施設と避難の考え方を合わせていくのが難しい
  • 実践的な訓練やノウハウを蓄積する人材も必要

Q5:活動継続の見通し

継続する上での不安

 

  • 伝承団体は92%が「不安」(「大いに不安がある」と「どちらかというと不安がある」の合計)で、残りも「わからない」であった。
  • 伝承施設は68%が「不安」で、「わからない」の回答もあったものの、「不安がない」回答も24%あった

 

活動資金、活動人材の見通し

 

  • 「次世代への伝承」が掲げられる中、1年後、3年後、10年後、30年後の活動資金見通しについて、伝承団体、伝承施設ともに、年数を増すごとに先の見通しが得にくい状況が示された
  • 特に伝承団体においては10年後に急激に落ち込み、30年後には「全く見通しがない」もしくは「わからない」の回答のみであり、1世代分の年月の継承を見通すことも難しい状況であった
  • 別の設問で「5年間の支援があった場合の持続性が高まる見通し」を尋ねたところ、「大体見通しがある」が3割を超えた
  • 自由記述において「5年間のプログラムで、持続可能な仕組みづくり、人材育成ができれば見通しが立つと考える」、「5年間の期間だけ存続が延命されるのでは支援の意味はなく、各団体、施設でどのように自立していくのかを見つめ直すことこそが重要であると考える」、「5年あれば日本と同じように災害が多いい国(台湾、インドネシア、フィリピン、トルコ、イタリア、チリ・・)など、お互いに学ぶために訪問しあう状況も生まれるかも」との回答があり、期待と不安の双方の声が確認された。
活動人材の見通し

  • 活動人材についても、
    伝承団体、伝承施設のどちらも、10年後、30年後の見通しは難しい現状が示された。

Q6:震災伝承の今後に必要なこと・もの

継続に関する公的な資金支援の現状

 

  • 震災伝承継続に関する公的な資金支援について、
    伝承団体では61%、伝承施設では60%が「不十分」(「不十分である」、「どちらかというと不十分である」の合計)と回答し、
    両者とも「十分である」の回答はゼロであった。
「第2期復興・創生期間」後の震災伝承への公的な資金支援への期待

  • 「第2期復興・創生期間」後の公的な資金支援への期待について、
    「公的資金支援の拡充」への期待が伝承団体は54%、伝承施設は56%であった。一方、「2023年度レベルの維持」への期待が震災学習プログラム実施団体は46%、震災伝承施設運営組織は36%であった
  • 両者とも「第2期復興・創生期間」後に「公的資金支援の収束」を期待する回答はゼロであった。
  • それぞれの選択肢の回答理由は、以下の通り。

    <「拡大」選択理由>「震災伝承への公的資金支援の拡充がなければ次の災害に備える為にも東日本大震災の教訓を生かす震災伝承プラットホームの構築が肝要である」、「現在ニーズに対して対応する人材が限られている状況にあるので、今以上に人材育成に対して公的支援を拡充していただきたい」、「支援が無ければ人材の育成も出来ないし、人材の確保も出来ない」、「収益性の追求のみで継続できる事業ではないため」、「来訪者への手厚い支援に比べ、伝承者への支援は足りていない」、「復興・創生期間の今後については、震災伝承事業が大震災の風化防止及び震災を知らない世代への啓発にとって大変重要であることを国民全体に周知する必要性があることから、公的支援は必須のものととらえている」、「当社では今後も複数の震災遺構の保存を行う予定であり、民間では限界もあるため支援を必要としている」

    <「維持」選択理由>「コロナ禍が落ち着きを見せ、教育旅行の方面が関東・関西へ戻ってきていること、能登半島地震からの復興による震災プログラム造成などにより、東北方面への旅行がますます減少することが考えられる。そのため、コンテンツ造成や地域間連携するための包括的な支援などが望ましい」

    「その他」選択理由:「支援と言うより、当たり前のような予算化は出来ないのかなと感じます」

伝承活動継続のために特に重要な資金項目

  • 伝承活動の資金に関して、
    伝承団体、伝承施設ともに、「人件費」に最多の回答があった。他選択肢からの差が大きく、伝承を担う「人」の重要性が示唆された。
  • 「人件費」の次に、伝承団体は「広報費」、「施設維持費」を、
    伝承施設は「展示・資料作成費」、「施設維持費」を挙げており、施設の新設だけでは「次世代への伝承」は実現できず、施設(活動場所)の維持のほか、広報、展示、研修などの向上のための資金が必要とされている。
伝承活動継続のために特に重要な人材

  • 後世への伝承活動継続のために特に重要な人材は、
    伝承団体は「語り部」が最多、伝承施設は「行政職員」が最多であった。
  • 「研究者」、「学校関係者」、「メディア」に対する回答は、伝承団体、震災伝承施設で同傾向であった。
  • 「語り部」、「伝承施設スタッフ」、「事務スタッフ」、「民間企業関係者」、「行政職員」については、伝承施設と伝承団体の回答の差異が大きかった。
後世への伝承活動継続のために必要な専任人材

  • 伝承団体、伝承施設ともに、101~200名が最多の回答であった。51~100名の回答が非常に少なく、回答者により「専任人材」や「東北3県」のイメージが異なっていたことが想定される。
震災伝承の成果を測るのにふさわしい指標

来訪者数以外の指標候補は、復興基本方針に掲げる語句や復興庁の行政レビュー指標を選択肢とした

震災伝承の成果指標

  • 震災伝承の成果指標に関して、
    伝承施設は「来訪者数」が最多であったが、伝承団体は「自らの命を守り抜くために主体的に行動する態度」が最多となった。
  • 伝承団体、伝承施設の回答上位3つは「来訪者数」、「震災への教訓への理解促進」、「自らの命を守り抜くために主体的に行動する態度」で共通していた。一方で、「安全な社会づくりに貢献する意識」は、伝承団体と伝承施設で大きな差異がみられた。
  • 「復興庁教訓継承サイトの普及開発コンテンツ数」に対しては、伝承団体が3団体、伝承施設が2団体であった。
  • 「その他」として、以下の回答があった。
    ・「震災伝承の成果は将来にわかるものであり、地域によっても異なるため測ることができる具体的な指標は無いと考える
    ・回答例から選択できない
    ・新しい担い手の参画数、リピート率、メディアや論文への掲載数とその広報効果などの他、防災意識の変化や、次にの災害が発生した場合にとれた防災行動、など、様々な指標が考えられる
    ・伝承施設は、来館人数や満足度だけでなく、リピート率、他施設や団体への紹介数、防災行動の変化などを指標として、各施設で共有してゆけると良い
後世への伝承活動継続のために必要なこと

震災伝承継続のために必要なこと

 

  • 後世への伝承活動継続のために必要なこととして、
    伝承団体、伝承施設、共に「自組織での人材育成」が最多であった。
  • 伝承施設に比べ、伝承団体の方が「自組織での対価収益増加」、「行政による民間の伝承活動の補助」、「伝承サポート人材の参画」を必要とする回答が多かった。
必要とされる「震災伝承継続のための新しい仕組み」

震災伝承の継続のための新しい仕組み

  • 伝承団体、伝承施設のどちらも「被災県単体での震災伝承継続を支える制度の継続」、「上記それぞれを連携させる存在」が上位であった
  • 復興庁、国の新設組織、国の支援組織、被災県、被災市町村と、その連携への期待が大きく、自治体を超えた取り組みの必要性が示唆された
  •  「その他」として、「総務省消防庁の防災意識向上プロジェクトの事業を自治体の各教育機関と結び活用出来るように出来たら良い」、「特に津波に関しては”早期避難”により多くの命が救われる想定があるため、避難行動を促すソフト施策への投資は地域の力となるため非常に有効」との回答があった。

  • 回答理由として以下のような様々な回答があった。(自由記述の一部)
    ・「震災伝承継続のための新しい仕組み」として全国津々浦々の幼稚園から大学まで東日本大震災の教訓を伝承できる語り部を派遣、伝承できる語り部の研修組織を設立。次の大災害が発災する前に一人でも多くの次代を担う若者達に知る事から始めてもらうスイッチをいれる役割を果たすことで収益性・持続性向上とする  ・持続することが重要でそれを支えられる人材に対しての対価を確保できるのが望ましい      

    ・本全国各地で様々な災害が頻発していることから、次世代への伝承に向けた収益性の観点については見通しはないと感じる。ただしそれぞれの被災地同士の連携によっては、持続性向上が図れるのではないかと考える

    ・施設一つで学びを完結させようとすることはあまりにも狭義的であり、他の伝承活動やそれにとどまらない地域学習の機会、観光施設やプログラムと手を組むことで、裾野が広く収益を得られることができるようになるのではないかと思う。13年間の取り組みの成果が色々な意味で出てきている今、改めてそれぞれのターゲットを絞りマーケティングを行うこととそのうえで足りないところを補うことが必要

    ・支援も大事ですが、自分たちの体力やモチベーションを保っていくことが出来るかということが課題だと感じます

    ・「新しい仕組み」があれば解決、という考え方に疑問がある。既存の仕組みの中でできることがまだまだあるはずであり、官民ともに歩み寄って協働する姿勢が不足しているのではないか。   

    ・コロナ禍でのオンライン対応、ご遺族の被災物展示企画や能登地震展示の追加による情報発信効果、企業研修による収益向上などは、若い世代のスタッフがいてこそ実現してきた工夫。「伝承を仕事」にする人材が数年間でも専任で関わり、更に、他施設や団体との連携が進むことで、東北全体の震災学習の充実や発信力の強化、日本全体の防災力向上につながることが想定される

    ・企業研修の場所としての認知度のアップ

    ・伝承に収益性を求めないこと。金もうけではない。義務教育と同じ扱いが必要

まとめにかえて

東北の被災沿岸部では、東日本大震災以降に活発な震災伝承活動が始まり、震災前にはなかった修学旅行や視察の訪問があり、新しい地域の価値となっている。
第1弾の来訪数調査により、2023年は震災伝承施設への過去最多の来訪数が示されたが、2024年になって来訪数が減少するケースも散見されるようになっている。また、発災直後から活動している震災学習プログラム実施団体(伝承団体)の来訪数はコロナ禍の前から伸び悩んでおり、リピート訪問者からの高い評価とは裏腹に、本調査でも「継続性の不安」の大きさが再確認された。

南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝地震では、「早期避難」により多くの命が助かる想定がされており、東日本大震災の教訓伝承は、安易に金額に換算できない、かけがえのない命や財産を守る取り組みと言える。

本調査により、「次世代への伝承」の見通しの厳しさや、第2期復興創生期間後の取り組みへの期待が明らかとなったが、国全体を覆いかねない災害に対しては誰もが当事者であり、私たち一人ひとり、この調査結果を目にしてくださる一人ひとりに、必ず出来ることがあるはずだと考えている。

震災伝承の取り組みの中、本調査にご協力をいただいた関係者の皆さまに感謝すると共に、本調査結果が、災害から命を守る取組みを少しでも進めるきっかけになれば幸いである(調査担当:中川政治)

調査概要

【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2024年6月3日〜6月24日
【方法】メールで依頼・回答
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【一部助成】2024年度日本郵便年賀寄付金配分事業

調査協力

震災学習プログラム:26団体(岩手5/宮城17/福島4)

一般社団法人宮古観光文化交流協会、三陸鉄道株式会社、一般社団法人おらが大槌夢広場、いのちをつなぐ未来館、一般社団法人陸前高田市観光物産協会、けせんぬま震災伝承ネットワーク、一般社団法人 気仙沼市観光協会、三陸復興観光コンシェルジェセンター、南三陸ホテル観洋、南三陸観光協会、一般社団法人女川町観光協会、一般社団法人健太いのちの教室、大川伝承の会、一般社団法人石巻観光協会(石巻観光ボランティア協会)、公益社団法人3.11メモリアルネットワーク、SAY’S東松島、七郷語り継ぎボランティア、一般社団法人ふらむ名取、津波復興祈念資料館 閖上の記憶、岩沼市千年希望の丘交流センター、亘理町観光協会(震災語り部の会ワッタリ)、やまもと語りべの会、相馬市観光協会、一般社団法人大熊未来塾、富岡町3・11を語る会、いわき語り部の会

震災伝承施設:運営25組織(岩手4/宮城15/福島6)
※複数の施設を運営している組織については、回答は1件としています。

いのちをつなぐ未来館、大船渡市防災学習館、東日本大震災津波伝承館、陸前高田市立博物館、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館、リアス・アーク美術館、南三陸3.11メモリアル、女川町まちなか交流館、絆の駅 石巻ニューゼ、南浜つなぐ館・震災伝承交流施設 MEET門脇、石巻市震災遺構 大川小学校・石巻市震災遺構 門脇小学校、みやぎ東日本大震災津波伝承館、キボッチャ、せんだい3.11メモリアル交流館・震災遺構 仙台市立荒浜小学校、名取市震災復興伝承館、津波復興祈念資料館 閖上の記憶、岩沼市千年希望の丘交流センター、山元町防災拠点・山下地域交流センター、震災遺構中浜小学校、相馬市伝承鎮魂祈念館、福島県環境創造センター、東日本大震災・原子力災害伝承館、東京電力廃炉資料館、原子力災害考証館furusato、いわき震災伝承みらい館