【開催報告】岩手・宮城・福島大学生 伝承防災交流会【11/1開催】
11月1日(土)、岩手県・宮城県・福島県で防災活動や伝承活動に取り組む学生のための交流会を開催しました。
7月に福島大学の学生を招いた交流会の第2回として、今回の交流会は、岩手県立大学防災復興支援センターの学生団体FROMの皆さんが宮城県石巻市で実施する研修に合わせ、福島大学、東北大学インクストーンズ、東北福祉大学、石巻専修大学、さらに石巻市立好文館高校の生徒や各大学の先生方も加え、総勢50名の方々にお声がけさせていただき開催に至りました。
研修は震災遺構大川小学校の視察からスタートしました。東日本大震災による津波で、当時5年生だった娘さんを亡くされた、大川語り部の会の紫桃隆洋さんに、震災遺構大川小学校をご案内いただき、大川小学校遺族が原告として争った裁判についてもお聞きしました。
事後アンケートでは、「(今までに聞いた語り部は)震災当時だけの話が多く、裁判の話、多くの被災者が出た場所の語り部を聞くのは初めてであったため、衝撃が多かった。私にとっては地震が来た=高台へ逃げる、という認識が当たり前であったため、東日本大震災前はそのような認識はあまりなかったことが今回の話でより一層感じた。」や「自分には、怒りを語る資格はないのかもしれないが、この悲劇から目を逸らさず、同じことを二度と繰り返さないために、自分の命は自分で守るという意識を持ち、防災の大切さを語り継いでいきたい。」といった感想が見られ、自分と照らし合わせて考えること、自分にできることは何かを考える機会となりました。
昼食をはさんで、午後からは震災遺構門脇小学校やMEET門脇、震災時の実際の避難路などを、伝承サポーターとして活動に取り組む大学生たちと3.11メモリアルネットワークのスタッフが案内しました。今回ガイドを担当したのは、東北大学の震災復興団体インクストーンズの佐藤くんと、東北福祉大学の佐光さん。2人は研修期間を経て、ボランティアではなく対価を受け取りながら、主体的に伝承活動に関わっています。
被災当事者から聞いたこと、石巻市門脇・南浜地区で学び体験したこと。知識や伝聞だけではなく、自分の感情や、時には自らの被災体験も交えながら、大学生が自ら語り継ぐ。この地域の出来事を知ると同時に、大学生が自ら関わることの意味を考える時間となりました。
2つの地域での語り部と語り継ぎを学んだあとには、参加者全員で交流会とワークショップを実施しました。
最初に、「どうして今の活動に取り組んでいるのか?」を。自己紹介も交えて話し合いました。
その次に、「大学生だからこそできること・伝えられることは?」というテーマを考え合いながら交流しました。
最後のワークショップでは、「活動の自分にとっての価値、地域にとっての価値、来訪者や参加者にとっての価値は?」というテーマを、各グループで考え合いました。
「地域にとっての価値」について、「大学生が防災に関わることで、将来的にも関わる人が増える」「一緒に震災のことを考えてくれる人が増える」「若い人が動くと地域住民の伝承意欲に火をつけることができる」など、大学生世代の活動が地域という枠や世代を超えて仲間を増やすことができると話している学生が多かったことが、とても印象的でした。
また、「大学生が活動する姿が、伝承を堅苦しいと思っている人のイメージを変えるかもしれないし、それが防災に関わるきっかけとなり、行動変容につながるかもしれない」と、まさに大学生ならではの視点での発表もありました。
今回参加した学生たちが、自ら関わるようになったきっかけはさまざまです。主体的に活動に関わることで自分自身だけではなく自分が関わる人々や地域へも変化を促すことになるということ、その変化が命や大切なものを守る行動変容につながるということ、それが未来の仲間を増やすことにもなるということ。
今日1日を通じて考えたことやお互いに深め合ったことなどが、今後もそれぞれの活動へもつながることを期待しています。
全体が終了したあと、「岩手や福島へも学びに行きたい」という声も上がり、次回以降の交流企画についても検討してまいります。







