2026年8月29日(土)、「災害と教育-伝承実践交流会2026 災害に向き合う教育の可能性~防災の視点を超えて~」(第二回)を開催しました。
2026年8月29日(土)、「災害と教育-伝承実践交流会2026 災害に向き合う教育の可能性~防災の視点を超えて~」第二回を、エル・パーク仙台とオンラインのハイブリッドで開催しました。
7月30日の第一回と合わせ、北海道から熊本まで100名を超える教職員、教育関係者、教員を志す学生の皆さまにお申し込みいただきました。ご登壇、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
第二回では、第一回で共有された「人権・いのちの教育」「震災体験と向き合い、意味づける学び」を振り返ったうえで、「震災遺産に向き合う視点から」「生きる意味の再構築の視点から」の2つの実践報告、参加者によるグループワーク、パネル討論を行いました。
小峰朱理菜さん/福島県立磐城高等学校教諭
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小峰さんからは、福島県立博物館に収蔵されている「震災遺産」を学校へ持ち込み、生徒が実物を観察しながら「問い」を考える授業実践について報告いただきました。
自身の被災経験を生徒にどう伝えればよいのか迷いを抱えていた中で、震災遺産を介して「先生が答えを教える」のではなく、生徒と教員が一緒に震災について考える授業を組み立てていった経緯が紹介されました。
授業では、原発事故による避難の中で子どもたちが願いを書いた「みんなの夢」、避難所に残された役割分担の張り紙、牛が生きようとしてかじった牛舎の柱などを教材に、生徒自身が「誰に」「何を伝えたいのか」を考えながら問いをつくります。
震災当時1~2歳で、ほとんど記憶を持たない高校生からは、「あなたの明日への選択肢はいくつあるか」という問いも生まれました。震災遺産を通して、勉強できることや進路について悩める現在の日常が、決して当たり前ではないことに気づいていく姿が紹介されました。
授業を受けた生徒たちは、その後、自主的に「震災伝承ゼミ」を立ち上げ、子ども向けの伝承防災かるたを制作するなど活動を展開しています。
小峰さんからは、震災遺産と問いを介した対話を次の世代へつなぎ、「教える伝承」から「共に問い、対話する伝承」へと広げていきたいというお話がありました。
藤澤和駿さん/開智所沢中等教育学校教諭
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藤澤さんからは、防災教育を災害時の知識やスキルだけにとどめず、「なぜ生きるのか」「何のために助からなければならないのか」という問いから、生き方そのものを考える教育実践について報告いただきました。
授業では、東日本大震災発災後の新聞紙面を時系列で読み、社会の中で震災に関する情報が変化していく過程を考える活動や、教室内に津波の到達高さを示して、自分の身体との比較からその大きさを実感する活動などを実施しました。
また、「砂時計モデル」と呼ばれるワークでは、震災当事者が歩んできた15年間と、生徒自身がこれまで歩んできた人生を重ね合わせ、震災を遠い出来事ではなく「誰かの人生」として捉え直します。見る・聞くだけでなく、実際に手を動かし、身体を使って考えることを通して、生徒自身の生き方へと学びをつなげていきました。
実践後には、生徒たちの避難訓練に向き合う雰囲気が変化したほか、家族で東北を訪れる生徒や、学校の防災マニュアル・備蓄の整備に動き出す保護者も現れたといいます。
藤澤さんからは、キャリア教育を単なる進路指導ではなく「生き方の教育」と捉え、防災教育から命や生きることを考える人間教育へつなげていきたいというお話がありました。
2名の報告後は、第一回の2名を含む4名の報告を振り返りながら、「報告から何を得たか」「それを受けて自分は何を実践するか」をテーマに、会場・オンラインの参加者によるグループワークを行いました。
全体共有では、教員自身が現地へ足を運び、そこで感じたことを自分の言葉で伝えること、学校と博物館など地域の機関が連携すること、防災教育を特定の教員だけの実践にせず、学校全体の教育として位置づけることなど、今後の実践につながる意見が挙げられました。
続くパネル討論では、2名の実践に共通するものとして、「正しい答えを教える」のではなく、震災や災害を通して子ども自身が考える学びをつくっていることが共有されました。
また、震災を経験していない世代へどのように経験や教訓を受け渡していくのかという視点から、問いや対話を通して震災を自分ごととして捉えること、その学びをさらに誰かへ伝えることが、持続的な震災伝承につながる可能性について意見を交わしました。
最後には、自分自身の命や尊厳、人権を守ること、隣り合う人の命や尊厳、人権を守ること、そして、それらを互いに守り合える社会をつくることへ、災害に向き合う教育をどのようにつなげていくかが共有されました。
第一回・第二回を通して、「防災教育」の枠を超え、震災に向き合うことから、命、人権、生き方、そして次の世代への伝承をどのように教育の中で考えていくことができるのか、参加者の皆さまとともに考える機会となりました。
ご登壇いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
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