【報告】12/11(土) 活動報告会「オンライン語り部 現地から伝える今とこれから」開催

2021年12月11日(土)、日頃から活動を応援いただいている皆さまに向けて、活動報告会「オンライン語り部 現地から伝える今とこれから」を開催いたしました。(チラシPDFはこちら
当日は、全国からZoomでご参加があり、3.11で被災した地域の「今」と「これから」の一端に触れていただく機会となりました。

※この行事は、「東日本大震災現地NPO応援基金 JT NPO応援プロジェクト」のご支援により開催いたしました。


 

第1部 オンライン語り部

第1部では、現地の語り部さんのお話をきくことのできる「オンライン語り部」を、参加者の皆さまにご体験いただきました。
福島県大熊町から木村紀夫さん(team汐笑プロジェクト)、宮城県石巻市から佐藤美香さん(日和幼稚園遺族有志の会)と中継をつなぎ、地域を歩きながら、震災当時のこと、その後のことをお話しいただきました。

【福島県大熊町】team汐笑プロジェクト 木村紀夫さん

木村さんのご家族は、東日本大震災の津波で行方不明になりました。
その後、原発事故の影響で、直後の捜索活動が困難を極め、娘さんの遺骨の一部が発見されるまで5年9か月の時間を要しました。
現在も捜索活動を継続するとともに、自宅跡や捜索の現場などを案内しながら、自身の経験を通して得た教訓を伝えていらっしゃいます。

木村さんの娘さんが通っていた熊町小学校。震災当時のままになっている。

今回は、大熊町内の帰還困難区域内をご案内いただきました。
当時娘さんが通っていた小学校や、遺骨を発見した現場、助かった家族が通った道などをたどりながら、事前の備えの大切さ、電力を使っていた一人の人間として次世代のために考えるべきことなどを、参加者へ問いかけました。

 

【宮城県石巻市】日和幼稚園遺族有志の会 佐藤美香さん

佐藤さんの娘さんは、東日本大震災の津波で犠牲になりました。
発災当時、子どもたちを乗せた送迎バスが、高台の幼稚園から海に近い地域へ下りてしまい、津波とその後の津波火災に巻き込まれ、佐藤さんの娘さんを含む5名の園児が亡くなりました。

佐藤さんたちご遺族が設置した、日和幼稚園の慰霊碑。

今回は、石巻市門脇地区から中継でつなぎ、震災当時バスの通った道や、娘さんたちが見つかった場所を一緒に回りました。
「助かったはずの命」。次の災害で同じことが繰り返されないように、私たち一人一人にできることを考える時間となりました。

 

第2部 クロストーク「伝承活動の今とこれから」

第2部では、「伝承活動の今とこれから」をテーマに、木村さん・佐藤さん・3.11メモリアルネットワーク武田代表の3人で、クロストークを行いました。

東日本大震災発災から10年以上が経過しましたが、多くの方が震災を伝える活動を続けてています。
佐藤さん、木村さんも「自分たちのような思いをする人がいなくなるように」「娘の命を無駄にしない、生かし続けたい」という思いで、伝え続けています。

一方で、継続することの難しさもあります。
「10年経ったからもう良いのでは?」という雰囲気があったり、地域特有の事情で思うように活動ができなかったり、収入面での不安、横のつながりのなさ、といった課題も話題に上りました。

参加者の方からは、「被災地では『まだ語り部をやっているの!?』という声があることを、初めて知りました」「細部にわたる工夫やご尽力のほどが伺え、これまでの『伝承』のイメージが大きく変わった」というご感想をいただきました。外からは見えづらい、語り部さんを取り巻く状況を、リアリティを持って感じていただく機会になりました。

佐藤さん、木村さんは「3.11メモリアルネットワーク(JT NPO応援)基金」の助成金も活用しており、時間が経過し、地域の状況も変化する中で「どう伝えていくか」を日々模索、工夫し、オリジナルの紙芝居や冊子を使った伝承に取り組まれています。

佐藤さんから「温めてきた企画を実現して、一歩階段を上ることができた」とコメントがあり、日頃から、伝承活動を応援してくださる個人・企業の皆さま、JT様のご支援で、各地の伝承活動が継続できていることを改めて感じました。
参加者の方からも、「繋がることで支え合う状況を作り出せていることも実感できました」「個の活動を支える以外に、共通のアクションのようなことができるとよいと思いました」というご感想をいただきました。

3.11メモリアルネットワークとして、今後もこのような伝承活動の共同発信機会を創出するとともに、資金面、横のつながり作りのサポートに取り組んでまいります。