【報告】「災害と教育~能登半島地震、東日本大震災を未来に活かす~」 開催

2024/9/7(土)、「災害と教育~能登半島地震、東日本大震災を未来に活かす」を開催いたしました。
 
※行事の様子は全編、アーカイブ映像(YouTube)でご覧いただくことができます。
※当日の資料は、こちらからダウンロードいただけます(約20.9MB)。

 

 

開催報告

9月7日、「災害と教育~能登半島地震、東日本大震災を未来に活かす~」実践交流会にご協力いただいた皆さま、ご参加いただきました約120名の方々に感謝申し上げます。

【 第1部 】 能登半島地震の現状報告

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「学校と地域が一体となって取り組む防災の大切さ」 輪島市教育委員会教育長 小川 正様

第1部では輪島市教育長の小川様より、能登町立小木中学校の校長を務めた2011年からの実践事例を報告いただきました。東日本大震災を他人事ではないと考えて、「ひとりの犠牲もだしたくない」「地域と一緒に助かる」という視点のもと、中学生が中心となって防災活動に携わってきたことで、「能登半島地震の際にも物資の運搬や避難所運営に生徒たちの関りに繋がった事例をご紹介いただきました。地域の防災力の向上のためには次世代を担う中高生への教育と、主権者のマインドをしっかりつくり、「心の防波堤」を高めていくことの重要性を述べられました。

参考資料『広報のと』

 
【 第2部 】 学校現場での実践事例共有

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『岩手』 釜石市立釜石東中学校校長 佃 拓生様

第2部ではまず、釜石東中学校校長の佃様より実践事例の共有をいただきました。
東日本大震災時はそれ以前から取り組んできた、避難の三原則などの防災教育によって多くの命を救うことができた、釜石東中学校の事例から、今現在は高台に移転し避難者を受け入れる側の想定や訓練に取り組むことになったことを報告されました。生徒が自分たちで考え避難看板の設置や防災マップづくりなどに取り組んでいることを紹介いただき、主体的な学びの姿勢が緊急時の力になる、震災を知らない世代だからこそ地域の方々と共に積極的に学ぶことができると述べられました。

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『宮城』 宮城県多賀城高等学校教諭 津守 大智様

つぎに、多賀城高校教諭の津守様より実践事例の共有をいただきました。
多賀城高校災害科学科での防災を軸とした専門的な学びのDMATを講師に招いての講義などの実例をご紹介いただいた他、前任校である涌谷高校での実践についてもご紹介いただいた上で、担当教員の異動に伴う引継ぎなど、継続性に関する具体的な指摘も述べていただきました。

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『福島』 福島県立あさか開成高等学校教諭・国際部 猪俣 由美様、目時 千夏様

実践事例共有の最後は、あさか開成高校の猪俣様、目時様より実践事例の共有をいただきました。
コロナ禍以降、国際交流に代えて取り組まれてきた地域課題の解決の体験学習として、東日本大震災・原子力災害伝承館での学習や、伝承団体のNPO法人富岡町3・11を語る会と連携した学習、紙芝居を用いた伝承活動への参加などをご紹介いただきました。

 
【 第3部 】 パネルディスカッション「防災教育は“命”と“地域”を救えるか」

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【登壇者】
輪島市教育委員会教育長 小川 正様
釜石市立釜石東中学校校長 佃 拓生様
宮城県多賀城高等学校教諭 津守 大智様
福島県立あさか開成高等学校国際科学科長 渡部 真奈美様

第3部パネルディスカッションでは、ご登壇の先生方に「防災教育は“命”と“地域”を救えるか」をテーマに議論いただきました。
議論ではその他に、「教員間でも温度差があるのではないか」「災害対応を超えた意義や役割が防災教育にあるのではないか」といった議論が交わされました。
「防災教育は“命”と“地域”を救えるか」という、少し挑戦的なテーマでしたが、能登と東北の登壇の皆さまからの力強い事例とメッセージのお陰で、大きな可能性を感じられる機会となりました。

東日本大震災発災から13年半が経過しましたが、災害伝承と教育現場をしっかり結び付いているとはいえず、
参加者アンケートでは「学校や地域と連携した取り組み」が難しい要因として、

・理解が得にくい
・協力者がいない
・まとまった時間がつくれない

などの回答をいただき、今後、社会全体に一人でも多くの方にご理解、ご協力が得られるよう発信してゆく必要性を再確認しました。
一方で、

・教職員の防災教育の熱を上げる
・語り続けたい
・学校の防災授業の中に災害伝承を組み込む

といった今後の具体的な取り組みを挙げていただいた
参加者もあり、とても心強く感じます。

事務局としては、会場の有線LAN接続にも関わらず途切れる部分があり、オンライン参加の方にご迷惑をおかけしたこと、お詫び申し上げます。
せっかく中身の濃い議論をいただきましたので、(音飛びの時間があるものの)内容共有できるよう検討させていただきます。
発災15年で地震津波被災地ではは復興事業の「役割の全う」が目指されていますが、15年を過ぎた後も震災伝承と防災教育の実践を継続できるよう、努めてまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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