2022年震災伝承活動調査(速報)について

3.11メモリアルネットワーク(旧3.11みらいサポート)では、東日本大震災の伝承活動の現状と課題の共有、および防災・減災活動の活性化を目的に、2017年より毎年調査を行っております。
この度、2022年調査として、2022年12月までの伝承活動の状況について、調査を実施しています。
2023年2月9日までに、岩手・宮城・福島の3県で伝承に取り組む、25団体・35施設のご担当者様が、受け入れ人数調査にご協力くださり、この度、速報として公開させていただくことができました。

2020年以降の新型コロナウイルスの影響は未だ残るものの、今回の調査では、2021年、22年と連続的な回復傾向も見えてきました。

発災からまもなく12年が経過するのを前に、東日本大震災の伝承活動の現状を多くの方に知っていただき、災害から命を守る取り組みに関心を寄せていただけるきっかけとなることを願っています。

 

調査概要

【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2023年1月23日〜2月9日
【方法】メールで依頼・回答
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【一部補助】令和4年度復興庁被災者支援コーディネート事業、公益社団法人Civic Force「NPOパートナー事業」
※今回の調査は、[第1弾]受入人数調査 [第2弾]アンケート調査 の2回に分けて実施いたします。この速報は、2/9までにご回答いただいた[第1弾]の調査票に基づく内容です。3月上旬頃に、[第2弾]の調査速報も公開予定です。

 

調査協力

震災学習プログラム:25団体(岩手3/宮城19/福島3)

一般社団法人宮古観光文化交流協会、三陸鉄道株式会社、一般社団法人陸前高田市観光物産協会、階上地域まちづくり振興協議会 語り部部会、けせんぬま震災伝承ネットワーク、一般社団法人南三陸町観光協会、三陸復興観光コンシェルジェセンター、南三陸ホテル観洋、一般社団法人女川町観光協会、一般社団法人健太いのちの教室、大川伝承の会、一般社団法人石巻観光協会(石巻観光ボランティア協会)、公益社団法人3.11メモリアルネットワーク、KIBOTCHA(奥松島観光ボランティアの会)、SAY’S東松島、七郷市民センター(七郷語り継ぎボランティア「未来へ―郷浜」)、一般社団法人ふらむ名取、一般社団法人閖上の記憶、岩沼市千年希望の丘交流センター、亘理町観光協会(震災語り部の会ワッタリ)、やまもと語りべの会、相馬市商工観光課、NPO法人富岡町3・11を語る会、いわき震災伝承みらい館(いわき語り部の会)

震災伝承施設:35団体(岩手4/宮城23/福島8)

いのちをつなぐ未来館、大船渡市防災学習館、陸前高田市立博物館、東日本大震災津波伝承館、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館、リアス・アーク美術館、シャークミュージアム、南三陸311メモリアル、女川町まちなか交流館、南浜つなぐ館、震災伝承交流施設 MEET門脇、石巻市まちづくり情報交流館(中央館)、絆の駅 石巻ニューゼ、石巻市震災遺構 大川小学校、石巻市震災遺構 門脇小学校、みやぎ東日本大震災津波伝承館、東松島市震災復興伝承館、KIBOTCHA、せんだい3.11メモリアル交流館、震災遺構 仙台市立荒浜小学校、名取市震災復興伝承館、津波復興祈念資料館 閖上の記憶、千年希望の丘交流センター、山元町震災遺構 中浜小学校、山元町防災拠点・山下地域交流センター、相馬市伝承鎮魂祈念館、震災遺構 浪江町立請戸小学校、東日本大震災・原子力災害伝承館、双葉町ふれあい広場、東京電力廃炉資料館、ふたばいんふぉ、いわき震災伝承みらい館、コミュタン福島
※2021年以前に閉館した施設(南三陸ポータルセンター、つなぐ館)は前回調査の記録を元にしています。

 

震災学習プログラム 年別受入人数推移(25団体)

  • 2022年の年間震災学習プログラム参加者数(25団体の現地参加者の合計)は、157,594名。
  • 前年(2021年)比141%の増加となり、コロナ禍の落ち込みからの回復傾向が確認できる。
  • コロナ前の2019年比では、91%まで回復した。

震災伝承施設 年別受入人数推移(35施設)

  • 2022年の年間震災伝承施設来館者数(35施設の合計)は、1,149,025名。
  • 前年(2021年)比140%に増加しており、伝承施設全体としては、コロナ前を超えて、過去最多の受入人数となった。
  • 閉館する施設もある一方、2022年にも新施設のオープンが複数件あり、施設数も増加傾向にある。

高校生以下の割合について

  • コロナ以前と比較し、2020年以降は、震災学習プログラム・震災伝承施設ともに、受入人数全体に占める高校生以下の割合が増加傾向にある。
    (上の図は、4年以上連続で高校生以下の人数を把握している団体・施設のみの合計値であることに注意。)
  • 震災学習プログラムは、コロナ以前から高校生以下の比率は高かったが、2021年には71%まで上昇、22年は60%となったが、高校生以下の受入「人数」は増加している。
  • 震災伝承施設は、プログラムよりは、割合は低いものの、ほぼ同じ傾向をたどっている。
    (施設は、カウンター等で計測している場合、個人来館者の年代別人数把握が困難であり、団体予約分のみの人数となっているケースもあることに注意。)

オンライン語り部の状況

  • 2022年も、引き続きオンラインによる伝承活動が行われているが、2021年と比較すると、参加人数は減少していることがわかる。
  • 徐々に現地訪問が可能になってきたことが影響しているものと考えられるが、オンラインの減少幅と現地の増加幅を比較すると、現地の増加の方が大きく、現地参加者が戻る一方で、オンラインの需要もある程度残っていくのではないかと予想される。

メディア掲載情報

-伝承施設の見学者 昨年最多115万人に コロナ禍から回復(朝日新聞、2/22)
被災3県の震災伝承施設の来館者数 過去最多に(tbc東北放送、2/11)
-「2022年東日本大震災伝承活動調査」速報値(PR TIMES、2/11)
 

岩手・宮城・福島の震災伝承団体、施設への訪問数が増加していていること、大変有り難く感じております。
3.11メモリアルネットワ-クとしても、引き続き全体傾向の把握に努めるとともに、震災伝承活動のサポートを継続してまいります。