2024年東日本大震災伝承活動調査第2弾(速報)

東北3県における東日本大震災の2024年伝承活動調査の集計結果を、一部抜粋して速報させていただきます。(詳細は追加報告し、今秋に冊子にして報告予定です。)

3.11メモリアルネットワークでは、東日本大震災の伝承活動の現状を広く発信するとともに、活動のあり方を考えるための基礎資料として、震災学習プログラムの提供や震災伝承施設の運営に取り組む皆さまにご協力いただき、2017年以降毎年「東日本大震災伝承活動調査」を実施しております。

2024年第1弾(来訪数)調査により、「東北の伝承団体・伝承施設への全体来訪の減少への転化」が確認され、また、地震・津波被災地域での復興事業が収束に向かう一方で防災庁設置準備の議論では防災の「行動変容」に言及されており、発災から14年で様々な環境の変化が見られます。

第2弾では、Q1~Q9のアンケートを実施し、3県の震災学習プログラム実施団体(以下「伝承団体」)25団体、震災伝承施設(以下「伝承施設」)26施設運営組織のご担当者が協力してくださいました。

発災15年を迎える前の東北被災地での伝承の取組みの現状を把握し、次世代への伝承に向けた持続性を高めてゆくための基礎資料としてお役立ていただければ幸いです。

Q1. 学校における震災学習について

(1) 自組織/施設の市町村内・県内の学校において震災学習が根付くために、何が必要だと思いますか?
(2) 自組織/施設の県外の学校において震災学習が広がるために、何が必要だと思いますか?

震災学習が市町村内と県外に広がるために

伝承団体と伝承施設からの合計回答数が多かった順に選択肢を並び替えてグラフを記載した。
「市町村内・県内の学校」において震災学習が根付くためには、第1が「教員向けの震災学習勉強会・研修会」、第2が「被災地訪問バス代等の移動補助」の順で、回答数が多かった。
一方「県外の学校」において震災学習が広がるためには、第1が「被災地を学校をつなぐコーディネート機能」、第2が「被災地訪問バス代等の移動補助」であった。
第2のバス代補助が県内・県外共に求められていたが、最多回答は、県内は「教員向けの震災学習勉強会」、県外は「コーディネート機能」と、回答が分かれた。

Q2. 地域の事前防災推進のための取り組みについて

(1)地域住民・団体、教育機関、地元企業等複数の主体が連携して防災教育に取り組むことは重要だと思いますか?

伝承団体は100%、伝承施設は96%から、複数の主体が連携して防災教育に取り組むことの重要性について「とてもそう思う」または「どちらかというとそう思う」との回答が得られた。

Q3.復興庁、自治体および防災庁への期待について

(1) 復興庁、自組織の活動県/自施設の所在県の自治体、自組織の活動市町村/自施設の所在市町村の自治体、防災庁のそれぞれに期待することを教えてください。

復興庁、防災庁、県、市町への期待は、それぞれ、249回答、278回答、268回答、212回答で、防災庁への期待が最も多かった。また、伝承団体と伝承施設に関しては、復興庁と県に対しては期待の回答数に大きな差異は無かったが、伝承施設は防災庁に、伝承団体は市町に多くの期待を回答する傾向にあった。
復興庁に対しては、最多回答が「伝承・防災活動(ソフト)への財政支援」、「被災自治体の伝承・防災施策の財政支援」であり、最小回答が「防災行動変容を促す優良事例の収集・広報」であった。
防災庁に対しては、「防災行動変容を促す政策・法制度の整備」が最多で、「自治体の伝承・防災施策の連携支援」が最少であった。
県に対しては、「自治体の伝承・防災施策の連携支援」が最多で、「防災行動変容を促す政策・法制度の整備」が最少でであった。
市町に対しては、「多様な民間活動の自立性・持続性向上の環境整備」が最多で、「防災行動変容を促す政策・法制度の整備」が最少であった。

(2)② 来訪者の意識や行動を変えるために、東日本大震災の語り部(人による伝承活動)は寄与できると思われますか?

来訪者の防災意識や行動変化のために語り部が寄与するかを問うたところ、伝承団体・伝承施設共に100%が「とてもそう思う」または「どちらかというとそう思う」と回答した。

Q4. 語り部・震災学習プログラムと伝承施設との連携・相乗効果について

(2) 各県で国が関わる復興祈念公園と、自組織との連携・協働が実現できていますか?

国が関わる復興祈念公園と自組織との連携・協働が実現ができているかの設問に対し、伝承団体の32%、伝承施設の31%が「とてもそう思う」または「どちらかというとそう思う」と回答した。

Q5.伝承活動の企画・工夫について

(1) 来訪者数増加のために実践している企画・工夫の事例を教えてください。

 

来訪数増加のための企画・工夫に対して、伝承施設の方が多くの回答が得られた。

(3) 震災伝承の「成果」を測るための指標は、どのようなものがふさわしいと思いますか?

震災伝承の「成果」指標については、合計回答数の最多が「伝承団体や施設への来訪者数」で、最小が「復興庁教訓継承サイトの普及開発コンテンツ数」であった。
「来訪数」、「自治体の最多外対応能力」、「復興庁サイトのコンテンツ数」の他は、伝承団体の方が多く回答する傾向にあった。

Q6.伝承人材の育成について

(1) 後世への伝承活動継続のために、特に重要だと思う人材を教えてください。

後世への伝承継続に特に重要と思う人材は、伝承団体・伝承施設共に「語り部」が最多の回答を得た。

Q7.伝承活動継続の見通しについて

(1) 今後、伝承活動を継続する上で不安を感じていますか?

伝承団体の96%、伝承施設の73%が継続性の不安に関して「大いに不安がある」または「どちらかというと不安がある」と回答した。

(2) 2026年度以降の組織・施設運営および活動資金の見通しについて教えてください。
(3) 2026年度以降の伝承人材確保の見通しについて教えてください。

活動資金も、活動人材も、1年後、3年後、10年後、30年後と経過するごとに見通しがつかなくなる傾向が確認された。
また、伝承団体よりも伝承施設の方が「はっきり見通しがついている」または「大体見通しがついている」の回答が多い傾向にあり、伝承団体の過半数は1年後の人材見通しが「余り見通しがついていない」、「全く見通しがついていない」、「わからない」の回答であった。

Q8.伝承活動に対する公的支援について

(2)「第2期復興・創生期間」後の震災伝承への公的な資金支援への期待について、お考えを教えてください。

「第2期復興・創生期間後」の公的な資金支援への期待を尋ねたところ、伝承団体の76%、伝承施設の54%が「拡充」への期待を示した。

Q9. 3.11メモリアルネットワークに期待することについて

最多回答は「東日本大震災の伝承の価値発信」で、2番目は「岩手・宮城・福島のネットワーク(東北全体としての)発信」、3番目が「岩手・宮城・福島の伝承現状・課題の調査」、「全国の被災地、防災関連組織との連携」、「教職員を対象にした被災地視察研修」の3項目が同数であった。

皆さまのご期待に応えられるよう、検討して参ります。

調査概要

【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2025年7月18日〜8月10日
【方法】メールで依頼・フォームで回答
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【協力】一般財団法人みちのく創生支援機構、公益社団法人CivicForce

調査協力

以下の伝承団体、伝承施設の皆さまに回答をいただき、感謝申し上げます。

震災学習プログラム:25団体(岩手5/宮城17/福島3)

宮古観光文化交流協会 学ぶ防災、吉里吉里国、おらが大槌夢広場、かまいしDMC、三陸鉄道
階上地域まちづくり振興協議会 語り部部会、気仙沼市観光協会、三陸復興観光コンシェルジェセンター、南三陸ホテル観洋、雄勝花物語、大川伝承の会、石巻観光ボランティア協会、3.11メモリアルネットワーク、女川町観光協会、健太いのちの教室、SAY’S東松島、七郷語り継ぎボランティア 未来へ‐郷浜、いわぬま震災語り部の会、津波復興祈念資料館 閖上の記憶、ふらむ名取、震災語り部の会ワッタリ、やまもと語りべの会
ふくしまリアリ、大熊未来塾、いわき語り部の会

震災伝承施設:運営26組織(岩手6/宮城14/福島6)
※複数の施設を運営している組織については、回答は1件としています。

いのちをつなぐみらい館、大船渡市防災学習館、大槌町文化交流センター、大槌伝承の館、東日本大震災津波伝承館、陸前高田市立博物館
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館
リアス・アーク美術館、南三陸311メモリアル、石巻市震災遺構門脇小学校・石巻市震災遺構大川小学校
、みやぎ東日本大震災津波伝承館、MEET門脇・南浜つなぐ館、石巻NEWSèe、女川町まちなか交流館
、東松島市復興伝承館、せんだい3.11メモリアル交流館・震災遺構仙台市立荒浜小学校、津波復興祈念資料館閖上の記憶、名取市震災復興伝承館、岩沼市千年希望の丘交流センター、山元町震災遺構中浜小学校
東日本大震災・原子力災害伝承館、東京電力廃炉資料館、とみおかアーカイブ・ミュージアム、福島県環境創造センター、原子力災害考証館furusato、いわき震災伝承みらい館

※2024年震災伝承調査第2弾は速報であり、今後も追加回答を収集して詳報を公開予定です。