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【石巻中学校 能登研修】能登で学び、石巻の未来につなぐ

2026年10月3日から5日まで、石巻中学校ムレトビ講座「防災リーダー育成講座」に参加する中学生たちが、能登半島地震や奥能登豪雨の被災地を訪問しました。

「ムレトビ」は、石巻中学校コミュニティスクールの名称です。様々な放課後講座の中で、3.11メモリアルネットワークは防災リーダー育成講座として「避難所運営コース」「語り部コース」の2つを担当。今回は防災リーダー講座参加者のうち有志14名の生徒と能登の被災地を訪問しました。

訪問先で出会った人々の言葉や、実際に目にした被災地の風景。そこには、ニュースや事前学習だけでは知ることのできない経験や思いがありました。

3日間の出会いを通して、生徒たちは何を感じ、何を石巻に持ち帰ったのでしょうか。

地域の歴史と、地域のために行動する人の思いに触れる

最初に訪れたのは、輪島市の黒島地区です。

黒島地区についてはこちらからご覧ください

ゲストハウス黒島を営む杉野さんの案内で、地域の歴史や文化、能登半島地震によって隆起した海岸線などを見ながら、まちを歩きました。

北前船によって栄えた歴史や、天領として統治された文化。地域に残る歴史を知るとともに、震災によって変化した海岸線や堤防、海の様子を実際に目にしました。

まちあるきの後の質疑応答では、生徒から杉野さんに、こんな質問が投げかけられました。

「どうして黒島のためにそんなにがんばれるんですか?」

杉野さんは、自分の取り組みや仕事が黒島地区をよりよくすることにつながっていると実感できること、そして、それが自身の幸せにつながっていることを話してくださいました。

また、「災害が発生した時に、子どもたちはどんなことができると思いますか?」という質問には、「周りの大人や中高生とスムーズにコミュニケーションが取れる。スマホやいろんなツールが使える。普段何気なくやっていることが、避難所や被災した時には強みになります」と、自身の経験から語ってくださいました。

地域の歴史や震災について学ぶだけでなく、地域のために行動する大人の姿に触れた生徒たち。

黒島での時間は、防災や震災伝承について考えるとともに、自分自身の将来や、これからどのように生きていきたいかを考える時間にもなりました。

同世代の仲間と歩く、震災後のまち

続いて訪れた輪島中学校では、同校の生徒たちに学校と輪島市内を案内してもらいました。

外壁やグランドが工事中の校舎をスタートし、仮設住宅が並ぶマリンタウンや、火災によって大きな被害を受けた輪島朝市通りを一緒に歩きました。

案内してくれたのは、震災を経験した輪島中学校の生徒たちです。

震災後の生活の変化や、マリンタウンや朝市にまつわる思い出、仮設住宅で暮らすことへの不安、校舎やグラウンドが思うように使えなかったときに考えていたことなど、同じ中学生だからこそ聞くことのできる話がありました。

石巻中学校の生徒たちにとって、被災したまちを実際に歩き、そこで暮らす同世代の仲間から話を聞くことは、震災後の生活をより具体的に考える機会となりました。

意見交換の時間には、輪島中学校の生徒たちから、自分たちも防災訓練に関わっていきたいという思いが語られました。

震災を経験した同世代の生徒たちが、自分たちにできることを考え、地域の防災に関わろうとしている姿。その姿は、石巻中学校の生徒たちが、これから自分たちに何ができるのかを考えるうえでも、大切な出会いとなりました。

避難所での経験から、防災訓練の意味を考える

午後に訪問した能登町では、宇出津漁港周辺を歩き、地震によって沈下した漁港や、復旧に向けた工事の様子を見学しました。隆起した海岸線が見られた黒島地区とは異なり、宇出津漁港では地盤の沈下が起きていました。同じ能登半島でも、地域によって被害の様子が異なることを、実際の風景を通して知りました。

その後、能登高校の生徒たちとの交流会を行いました。

交流したのは、中学生のときに能登半島地震を経験した生徒たちです。自身の学校が避難所となり、そこで生活した経験や、能登町小木中学校で行われていた防災訓練について話を聞きました。

防災訓練で取り組んでいたこと、実際の災害時にできたこと。

災害を経験した同世代の生徒たちの話は、これから避難所運営訓練に取り組む石巻中学校の生徒たちにとっても、自分たちの活動を考える手がかりになったはずです。

今回の研修で得た学びを、11月1日に予定している石巻中学校の避難所運営訓練にどう生かしていくのか。生徒たちは、現地での経験を石巻での実践につなげようとしています。

家族や日常を失った経験、そして伝え続けること

1日の最後に、輪島市役所に努める林克彦さんと中学生の娘さんから、能登半島地震を経験した当時のことや、その後の暮らしについて話を聞きました。

地震による家屋倒壊で、母親と祖母を亡くした林さん親子。

市役所職員として災害対応にあたる克彦さんは、仕事に追われる中で、子どもたちとの時間を十分に取れず、不安な思いをさせてしまったのではないかと心配していたことを話してくださいました。

 

中学生の娘さんは、家族を失った経験、自分のお兄さんがけがをしながらも救出しようとしていた姿、以前は当たり前のように会っていた友達と震災後に突然会えなくなった経験について語ってくれました。

災害によって失われるものは、建物や道路だけではありません。家族と過ごす時間や、友達と会う日常など、一人ひとりにとって大切な暮らしも大きく変わります。

現地で暮らす方々の話を直接聞くことで、生徒たちは、災害が人々の生活に与える影響を具体的に考える時間を過ごしました。

克彦さんは、能登半島地震の被災地が、今も復興の途中にあることを伝えたいと話してくださいました。

実際に被災したまちを歩き、そこに暮らす人々の話を聞く。現地に足を運んだからこそ知ることのできた被災地の現状や、一人ひとりの思いがありました。

林さん親子から防災や語り部に取り組むきっかけを聞かれたある生徒は、「震災を知らない世代と言われるけど、知らない訳じゃない。知ることはできるし、自分より下の小学生に伝えたくて。」と答えました。3.11メモリアルネットワークとしても、発災後に生まれた中学生たちは「知らない世代」ではなくて、学んで、次の行動につなげられる世代なのだという大切な気付きを得ることができました。

 

能登での学びを、石巻のこれからへ

3日間の研修を終え、生徒たちは振り返りミーティングで、それぞれが感じたことや、これからの活動への思いを共有しました。

ある生徒は、実際に現地を訪れたことで、ニュースで見ていた被災地の姿との違いに驚いたと話しました。

また、別の生徒は、同じ被災地だからこそ共有できる気持ちがあり、これからの防災について考えが深まったと振り返りました。

震災当時はすぐに行動できなかったとしても、その後、語り部として自分の経験を伝える人たちの姿に勇気を感じたという声もありました。

 

そして、多くの生徒が、今回の研修で学んだことを石巻に持ち帰り、家族や友達、身近な人たちに伝えたいと話していました。

「今回の研修で学んだ内容を、これからの避難所運営や石巻での防災訓練に生かしていきたい」

 

研修を通して得た気づきを、自分たちの地域での活動につなげようとする生徒たち。

能登での出会いや対話を通して考えたことは、これからの防災リーダーとしての活動や、石巻で暮らす自分たちの役割を考えることにもつながっています。

今回の研修は、能登の災害や復興について学ぶだけでなく、自分たちの故郷である石巻を見つめ直し、これから何ができるのかを考える3日間となりました。

生徒たちが能登で出会った人々の言葉や、そこで生まれた気づき。それらを石巻での実践につなげていく取り組みは、これからも続いていきます。

 

今回の研修にご協力いただいた能登の皆さま、貴重な学びと交流の機会を本当にありがとうございました。皆さまとの出会いを、これからの石巻での活動につなげていきます。

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